五色ヶ原の森を臨む
意外と県外の人に知られていない高山市にまつわる話題として、「日本で1番大きな市」だというものがある。2005年に周辺の1市9町村が合併したことにより、面積が2177.61平方キロメートルまで拡張したことに由来している。
どれくらい広大な面積かと言えば、香川県や大阪府などの府県よりも大きく、ここまで広いのは市としては唯一だ。東京都ともほぼ同じ面積ほこる高山市だが、土地としての特徴がある。そう、市域の90%が山林を占めているのが、ここ高山市なのだ。
この豊富な山林面積と大自然から得られる恩恵として、まず山菜が挙げられるだろう。季節ごとに、フキノトウ、花わさび、タラの芽、コシアブラ、ヤマウドなど種々様々な山菜を採ることができ、天ぷらとして楽しむのはもちろん、漬物などでお土産としても持ち帰ることが可能。滋味深い味わいで人を楽しませてくれる。
山菜以外にも、もう1つ大きな恩恵がある。それは、山、そのものだ。登山やトレッキングなど、夏の素晴らしいアクティビティを楽しめるのがこの土地の魅力だ。
今回取材で訪れたのは、高山市に編入合併される前は丹生川村という地名で知られていた五色ヶ原の森。登山ファンならずともその名が知られている、多くの山々が連なった乗鞍岳を支える広大な台地であり、妖精が住んでいると言われているほど、手付かずの自然を楽しめるエリアなのだ。2001年から当時の丹生川村が、登山道の整備を進めてきたことで、こうして山を楽しむことができるようになった。
そんな五色ヶ原の森だが、自然保護の観点から個人での入山は禁止されている。五色ヶ原の森ツアーセンターに予約すると、グループごとに山岳ガイドさんが付いてくれ、ルートを案内してくれるので初心者でも安心。植物や生き物、歴史の勉強にもなる。今回はこの道なんと40年のベテランガイド・上平尚さんに案内してもらった。