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生きもの相手に近道なし
厳密な管理と実直な仕事が
質の高い飛騨牛を生む

HIDABITO 014
---有限会社若田ファーム
---若田 貴男氏

取材
社名:
有限会社若田ファーム
住所:
高山市丹生川町

全国的にも有名になった安福号の肉質は、しっかりとその子孫に遺伝。それをさらに向上させようという畜産農家の創意工夫と、それをバックアップしようという関係団体のたゆまぬ努力の中で、飛騨牛というブランドは作られ守られている。

そんな飛騨牛を育てている若田さんの牛舎では、現在200頭ほどの飛騨牛を飼育。いかにも肉質のよさそうな大きな去勢牛から、その優しい雰囲気から見た目ですぐそうと分かる雌牛、何ともかわいらしい仔牛たちが出迎えてくれた。

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「私の家系は昔から役用といって、農作業用に牛を飼っていたらしいです。それが肉を売るようになったのは父の代から。幼い頃から牛に囲まれて育ったので、継ぐというのは自然でしたね。親への反発?なかったですねえ。親父の苦労、ずっと見てきましたから」

しかし、すんなり継ぐのではおもしろくないというのも男の本音。農業大学校卒業後5年の間、北海道十勝清水の農場へ就職した。そこでは自ら加工と肉の卸まで行う独自の考えを持った社長の下につき、刺激的な時間を過ごしたそうだ。そこでの経験を引っさげ、生まれたこの土地に戻ってきた。

もともと若田さんの父親が育てていたのは、主にホルスタインだ。ただ若田さんが戻ってきた頃、ちょうど牛肉輸入自由化を迎えたことで相場がどんどん崩れていったため、輸入牛肉と差別化し、飛騨牛のブランドを掲げていく必要があった。当時25歳の若田さんは、それを一手に引き受けた。

「とにかく大事なのは、相手は生き物だということ。創意工夫も大切かもしれませんが、自分は地道にコツコツと毎日牛に向き合ってます。当たり前のことを、ただ当たり前にやる。新しくチャレンジしたいことと言ったら、そうだなあ、守りに入るような言葉ですけど後継者をしっかり育てたいんですよ」

母校の農業高校の畜産科では、今半分以上が女の子だとのこと。彼ら、彼女たちが働きやすい労働環境を整えることが1番の課題だと語る若田さんは、その仕事の丁寧さが言葉にもしっかり現れているようだった。

しかし最後くらい、すこしくだけたコメントも欲しい。若田さんが1番好きな飛騨牛の食べ方は?と聞いてみた。

「ああ、私はやっぱりステーキですね。塩と胡椒が1番いいと思います。ただ、自分では焼きません。焼くのは、そっちのプロに任せたほうが断然おいしいですからね」

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取材
社名:
有限会社若田ファーム
住所:
高山市丹生川町