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はるか遠く昔からある木造建築の中の静寂
円空も逗留した山寺で

HIDABITO 018
千光寺
大下 大圓師

岐阜千光寺の歴史とは?

静寂に包まれた高山はの一角にある【千光寺】は、1600年前に豪族両面宿儺(りょうめんすくな)が開山し、約1200年前に真如親王(弘法大師の十大弟子の一人)が建立された由緒ある古いお寺。戦国時代に入り永禄7年(1564年)、甲斐の武田軍勢が飛騨に攻め入った折、全山炎、その後再建されたもので、手前に円空仏寺宝館、十王堂。極楽門(仁王門)から階段が続いた先に本堂、横には続きの庫裡(くり)がある。通された庫裡(くり)には、囲炉裏(いろり)があり本堂とともに再建されてから300年以上とのこと。

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「江戸時代に円空さんも仏像を彫られた場所がこちら」と大圓さん。
示した先に、囲炉裏脇にそっと座り、お寺と同じ穏やかなトーンと静かな空気をまとった、大圓さんがとつとつと語り始めた。

「約1,200年前に弘法大師の10大弟子の一人真如親王によって建立されましたが、永禄7年の武田軍の飛騨攻めの時焼け落ち、後の飛騨国主となった高山城主金森公が再建したのが現在の堂宇です。攻められたときに、村人が本尊を土に埋め焼けを逃れたんですよ」

はるか昔から村人にも慕われてきた【千光寺】だからこそ、長年続く由緒あるお寺となっている。

取材の日は雨が降っていたのだが、雲がきれ不思議と上がった。見渡す限り緑ある山に囲まれた所だが、春には桜が咲き、梅雨には紫陽花が、秋は紅葉が、11月には初雪と折々の四季を感じることのできる趣のある場所。

「年中カラっとして涼しく、昼寝するにも最高です(笑)冬は、寒くてストーブは10月から5月までついてますね。」

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数々の重要文化財も、惜しみなく案内していただいた。本堂の中にある龍天井(りゅうてんじょう)は、県の重要文化財。作者は狩野探雪(かのうたんせつ)(探幽の次男)。寺伝によれば血痕が染み込んでおり、これは戦国武将の切腹自害によるものだとされています。この血の付いた床板を供養のために再建された本堂の天井に張り、その後来山した探雪が、鎮魂を込めて下から見上げて龍を二頭逆さ書きしたものとのこと。(引用千光寺サイト)