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400年の歴史に導かれる
豊潤な日本酒
その入り口がここにある

HIDABITO 008
平瀬酒造
平瀬 克祐さん

取材
社名:
有限会社平瀬酒造店
住所:
岐阜県高山市上一之町82番地
電話:
0577-34-0010

「ちょっとタンク空けてみましょうか。あ、くれぐれも身を乗り出さないようにしてください。万一物を落とされたら買い取ってくださいね。ちなみにタンク1つで、一升瓶5000本ほどになりますから、お気をつけください(笑)」

ジョークを交えながら空けられた蓋の中を覗き込むと、発酵の終盤ということだが、まだあぶくが沸き立っている様子がうかがえる。

「ちょっと、仰いでみましょうか。これが発酵途中の日本酒の香りです」

言い終わるやいなや、りんごやバナナ、桃、洋なしを思わせるような、想像を更に越えたフルーティで芳しい香りが鼻先をくすぐった。思わず取材陣から「ああ…」という嘆息がもれる。

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その後ツアーから戻った我々を待っていたのが、念願の試飲タイム。IWC (International Wine Challenge)というイギリスのワインコンテストの日本酒部門でシルバーを獲得するなど、国際的な評価も高い銘酒・久寿玉は、地元はもちろん、国内、国外にも多くのファンを持つ。

「今は価値観が多様化している時代です。老舗としての矜持を保ちつつも、様々な需要に対応するために、多品種展開をしているんですね。バリエーションの豊富さは、今後さらに重要になると思います」

その言葉を聞きながら、まずは「しぼりたて純米生原酒」をいただく。酒造期のみ味わえるお酒で、華やかな香りと、若々しいキレが特徴的。続いて、純米酒、純米大吟醸とついでもらう。地元の米・飛騨誉を使っており、香りの中に華やかさと渋みが混ざる。説明もあいまって、もはや旨さしか感じない。試飲とはいえ、並々とついでもらったので、少し顔が暑くなる。

そんなところに、大学生と思しき若者グループが入ってきた。平瀬さんは目を細めながら解説を始め、試飲が始まると「あ、俺これ好きかも」「私日本酒苦手だったけど、これはすごくおいしい!」などの声が飛び交う。

初心者からすると、やや入りにくくも感じられる日本酒の世界。だが、こうして実際に酒蔵に足を運ぶと、こうも発見があり、またおいしく楽しめるものなのかと感慨深い。

「日本酒には、知る楽しみがあるんですよ」

そんな平瀬さんの言葉を思い出しながら、自然と足がお土産の販売コーナーに向かってしまったのは、決して回り始めた酔いのせいだけじゃないはずだ。

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取材
社名:
有限会社平瀬酒造店
住所:
岐阜県高山市上一之町82番地
電話:
0577-34-0010